お彼岸を迎えて

この度の東北地方太平洋沖地震により犠牲となられた方々のご冥福を、心よりお祈り申し上げます。

あれから10日少々経過しました。いまだ行方のわからない方々も多く、時間が経つのがもどかしく感じられます。寒い中で避難生活を送られている方々も大勢いらっしゃいます。私たちも、自分たちにできることを考える機会をたくさんいただいています。

そんな中でお彼岸を迎えました。続く余震の影響やガソリンが手に入らない等でいつものようにお参りにお越しになれない方もたくさんいらっしゃいます。その旨のお電話をくださった方はお声を聞いてご無事の様子を知ることができ、私どももとても嬉しく思いました。

お玄関には被害状況の一覧を貼り出し、お参りの方がご自分のおうちのお墓の状態を確認しやすいように致しました。
境内には江戸時代からの古いお墓も多くあります。そういうお墓は見ているだけで心が落ち着くような大らかで柔らかな姿をしているのですが、古いだけに傷ついてしまっているものも多く見られ、仕方がないとはいえ残念です。

お中日にあたる21日には法要が行われました。法要の中でも震災にあわれた皆様のご回向をいたしました。参列の皆様が合わされる手にも一層力がこめられているのがわかります。

法要ではいつも、「和讃」の奉納があります。信行会の皆様により行われました。今回選んだ曲は、「日蓮聖人御一代記」と「追弔歌題目(ついちょううただいもく)」です。「追弔歌題目」は、お通夜の場で歌われることの多い和讃で、当山では8月17日のお施餓鬼法要で奉納されることもあります。亡くなった方々の成仏を願う歌です。この度の震災で命を落とされた方の成仏をお祈り申し上げたく、この曲を選びました。

続いて住職より法話がございました。今、テレビを見ても周りを見渡しても自分にいったい何ができるのか途方に暮れてしまうこともあるけれど、節電や節水はもちろんのこと、日々を一所懸命に、丁寧に生きる・・・その気持ちも大切なのであるというお話でした。一人ひとりのそういう気持ちが復興という大きなエネルギーにつながっていくのでしょう。

また、関東の被害を心配して先日いただいた関西に住む友人からのメールには、次のように書かれていました。関西ではこう呼びかけているそうです―「私たちができることをしましょう。そして働きましょう。」働いて日本経済を支えることもまた、できることの一つなのですね。

そのように考えていくと、やるべきことはどんどん見つかっていきます。
この春のお彼岸は、いろいろなことを考え、気づかせてくれるような気がします。

今週は気温が低い日が続き、加えて昨日から今日にかけては特に余震が多いような気がします。
体に気を付けて過ごしてまいりましょう。

早ければお彼岸の頃には花を付け始める門前の枝垂桜ですが、今年はもう数日かかりそうです。それでもつぼみはふっくらとしてきて、春の訪れを感じます。ウグイスのさえずりが聞かれる日も、きっともう間近です!(慧香)

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