初題目と春祈祷(はるぎとう)

初題目に春祈祷。どちらも年初というおめでたい時節に似つかわしい言葉です。

初題目は、当山では一年最初のお寺としての行事(七福神めぐりは別として)になり、毎年正月第二週目の三連休に行われることが多いです。今年は1月11日(日)に行われました。

一年の一番初めに揃ってお経をあげ、和讃を奉納する機会となりますので、なんとなくいつもよりも厳粛な気持ちになります。今年も新しい年が迎えられたことを感謝し、一年の無事を祈ってご本尊様にお参りします。

また、この日は一年の行事についても話し合われ、特に2月4日(水)の「節分・立春ご祈祷会」について、色々とお話をしました。これまでの立春のご祈祷をベースにはしているものの本年初めてとなる「節分」の部分については、貴重な意見やアイデアもいただき、行事がだんだんと形になっていく過程を目の当たりにすることができました。例年の行事も毎年毎年が新鮮なものではありますが、新たに始める行事というのは、また格別な新鮮さや緊張感がありますが、細かいことを決めるにあたっては様々な価値観からの視点を忘れずに取り入れる冷静さも大切です。現在準備進行中!この「節分・立春ご祈祷会」については後の「リレーお便り」にてレポートいたします。妙隆寺らしさがにじみ出るような「節分」「立春」にできると良いなぁと思っています。

春祈祷。こちらは、住職が町内の一年の安全を祈ってご祈願をする、長く続けられてきた恒例行事です。今年は、1月12日(月・祝)に餅つきも行われました。ここ妙隆寺の住所は鏑木町(かぶらぎちょう)といいますが、町内会は江戸時代の区割りが今でも残り、「袋町(ふくろまち)」といいます。袋町の集会所で、餅つきがありました。お寺では「餡(あん)」作りで前日に準備のお手伝い。焦がさないように気をつけて、家族で交代しながら餡を煮詰めていきました。

当日。前以てお経のあがったもち米で、まずはお赤飯が蒸しあがります。薪にかまどで蒸したお赤飯は絶品!次に、お餅です。気持ちを込めて気合も込めて、搗(つ)いていきます。慣れている人は本当に上手!手際よく、抜群のチームワークであっという間にお餅の完成。お餅って搗き始めると早いものなんですね!もちろん、技あってのことなのですが・・・
私も、足の位置から教えてもらいながら搗いてみました。が、思い通りにはなかなか行かないと実感・・・まず、腰が入らないのです。

搗きあがったお餅は、「あんこ」「からみ」「きなこ」で食べます。熱いお餅をちぎるのもまた技のいる作業!お母さんたちに教えてもらいながら真似をしますが、なかなかココというところで切れません・・・お餅を温かいままに口にできるというのは、実は、熟練した技と迅速なチームワークのなせる産物なのだと実感しました。温かくて柔らかいお餅をお腹一杯食べました。

もう一つ感動したことが。からみ餅の大根が無くなった時、かつお節が足りなくなった時、お餅を持ち帰るのにボールが必要になった時・・・「私が家から持ってくるわ!」と皆が口々に言っては入れ替わりで必要な物をすぐに取っていらっしゃる姿に、「日本のご近所付き合いは今でもちゃんと残っているのだなぁ」と思いました。近隣者との付き合いが希薄になりがちと言われる現代社会ですが、こういう姿が残っていること、その中に身を置けることの嬉しさを肌で感じることができました。

身も心もいっぱいになった、一日でした。(緋)

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