ただ、ただ、自分で自分を受け容れる

さすがはお彼岸の季節、一日の中でも暖かさと寒さを感じられる日が続きます。それでもやはり今年は暖かいですね。三門前の枝垂れ桜が去年より約一週間早く満開を迎えています。
この枝垂れ桜は色が淡いので、写真ではなかなか綺麗に写らないのが残念なところです。境内の枝垂れ桜は他にもあり、順に花を付けていくので、それぞれに楽しめるのがとても嬉しいところ。一口に「枝垂れ桜」といっても、花を付ける時期も異なれば、花びらの色、花弁の数も様々に目を楽しませてくれます。人の個性と同じなのかもしれません。

昨日3月22日、佐倉市民音楽ホールで行われた米良美一さんのコンサートのお手伝いをさせていただきました。米良さんといえば、映画「もののけ姫」で主題歌を歌われ、その美声で広く名を知られている方ですが、テレビではお茶目な一面も見られます。コンサートでも、明るい歌や楽しいおしゃべりを聞くことができました。
しかしそれ以上に、私が感銘を受けたのは、米良さんが全身全霊を傾けて歌ってらしたこと。そして、深い気持ちのこもったお話。
中でも深く心に刻まれたのが、タイトルでも書いた、「ただ、ただ、自分で自分を受け容れる」というフレーズでした。「自分がこうであったらいいのに」とか「他人と比べて・・・」とか「外見的な特徴や個性について人から心無い言葉を向けられる」・・・そういった様々な感情や葛藤は誰もが持っているもの。しかし、それは受け容れなければならないもの。受け容れた上で、自分には何ができるのかを考え、そこに向かって日々生きていくことが大切なのだ、というお話でした。そして、米良さんにとってのそれは、「歌を以て伝えていくこと」。
「ただ、ただ、自分で自分を受け容れる」・・・心に響いた言葉でした。

カウンターテナーということから海外の歌を歌われることの多い米良さんですが、この日はアンコール以外すべて日本の歌を歌われました。日本の歌の美しい旋律と含蓄のある歌詞は、米良さんの美しい歌声や身振りとあいまって、たとえ初めて聞いた曲であってその情景が浮かぶほど豊かなものでした。

近年、こういった古くから歌い継がれて来た曲が音楽の教科書から消えてしまっているそうです。また、曲を知っているお母さまも少なくなっているそうです。もしも、このような美しい曲が人々の記憶から消え去る運命にあるのであれば、それはそれはとても残念なことだと思いました。(あ)

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